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  • 2019/04/30 (火)
  •  きょうで平成が幕を閉じる。感慨無量の境地だが、この寂しさはなんだろう。時を生きることは日々不変のはずだが▼飛鳥時代の一大転機こそ大化の改新。西暦で645年の出来事だが、その後にわが国の元号制度が始まった。それから1373年目、247番目の元号の門をくぐり終え、新たなゲートへ向かう私たち▼われわれの大半が昭和に生まれ、平成を経て新時代を迎えるが、中には大正から数える先達も。小欄で幾度か取り上げた、昭和を見下げる愚息らの平成も過去となる。終わって始めたら再度、終わりへと向かう時の循環▼平成の回顧は各所で見たし聞き飽きた。個人的には天災の多発と不況による政情不安の増した時代と思うが、陛下の苦悩と心労を感じればこそ、溜飲も下がり謙虚さが生まれる。ありがたいことだ▼脚下照顧。友人僧侶の口癖で、彼の生きざまそのもの。新時代を前にまずは自らの足跡の正誤を確認してはどうか。改元ほどの取捨の機会はまれ。ここはひとまず脚下照顧▼経営学の権威、ピーター・ドラッカー氏は「時間こそは、最もユニークで乏しい資源」と説く。時代を超越する幸運を胸にそれぞれの時は刻々と過ぎる。

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