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  • 2025/12/23 (火)
  •  きょう12月23日は「テレホンカードの日」。1982年のきょう、東京・数寄屋橋に最初のテレホンカード対応となる公衆電話が登場した。今では財布に常備する人はまれだが、かつてそれは、現金不要で小銭の心配もなく、外出先で誰かとつながるための大切な「お守り」のような存在だった▼公衆電話の細い投入口にカードを差し込む。カシャッという乾いた音とともに表示される度数。通話が始まると、その数字は非情にもカウントダウンされていく。残り少なくなると鳴る「ププッ」という予報音に急かされ、慌てて別れの言葉を結んだ記憶は、当時の世代が共有する切なくも温かい光景だろう▼使い切ったカードの端に並ぶ小さな穴は、誰かと交わした対話の軌跡。1枚のカードを使い切るまでの間に、どれだけの思いを言葉に乗せただろうか▼今、公衆電話は街の片隅で静かにたたずんでいる。しかし、災害時には真っ先に頼れる存在としてその価値が見直されている。SNSなどネットの普及により、世界中の誰とでも無限につながれる現代と違い、受話器を通して限られた時間に心を通わせた思い出を、この記念日にいま一度かみ締めたい。

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