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2024/12/13
(金)
- 「核兵器は人類と共存できない、共存させてはならないという信念が根付くこと、自国の政府の核政策を変えさせる力になることを私たちは願っている」―▼ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会の代表委員、田中熙巳さんが、10日にノルウェーで行われた授賞式で世界の核保有国と同盟国の市民へ向けて述べたメッセージ▼テレビで生中継され、続く最後の言葉は「人類が核兵器で自滅することがないよう、そして核兵器も戦争もない世界の人間社会を求めて共に頑張りましょう」。被爆者自身から語られた言葉は、世界各国に重く受け止められたと思いたい▼田中さんは、79年前の8月9日、長崎市で被爆。現在92歳の年齢が示すように被爆者は高齢化し、年を追うごとに減少。40年ほど前、長崎市にいたころは田中さんの上の世代の被爆者が多く存命。語り部として当時の惨状、核実験が行われるたび核廃絶を訴え続けていた▼それから月日はたったが、核抑止論は正当化され、今も核兵器は存在、隣国では開発に余念がない。田中さんが訴えた保有国と同盟国は、アメリカと日本も当てはまる。変える力になるには何をすべきか。改めて考えたい。