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  • 2026/04/07 (火)
  •  春の風物詩の代表格、郡市のサクラもいよいよ終わりへ。わが家の標本木、隣地の老樹はことしも華やかさと威容を存分に味わわせてくれた。葉桜までしばし、散り際を鑑賞しよう▼待望の開花に始まり“…分咲き”の情報に心弾ませ、いよいよ満開ともなれば花見の決行だ。そして風に流される花弁、ときに一夜の嵐で様相を一変させるはかなさを兼備したサクラの魅力は多様で、その感じ方も人それぞれ。散りぎわの潔さが軍国下の精神論に使われた歴史もまた事実である▼はかなさは、サクラのように弱い存在ほどこれに該当し、たいていの場合は美しさを併せ持つ。たとえば来月末には飛び始めるホタルもそうだ。“蛍二十日に蝉三日”と表される短い活動期と淡い光に命の灯を重ね、いわゆる“火垂る”と呼ばれてきたのもうなずけよう▼他方、自然を愛でつつ文明社会を構築するわれわれ人類は相次ぐ天災、そして進行中のイスラエルと米国対イランの戦争のように、これまで利権を絡めた国家間の争いに乗せられている。そして世界は命の尊さを知りつつも愚行を犯し、より多くの犠牲者を出している▼ホタル同様、人命もまたはかなきものである。

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