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  • 2018/12/27 (木)
  •  小欄に携って四半世紀弱。「思えば遠くへ来たもんだ」と懐メロの歌詞よろしく、あのころを回顧す。まだ両親も祖父も健在だった▼血気盛ん、夢と希望に満ちあふれ、目前の障害を蹴り飛ばす都度、父がとりなし後始末の日々。そんなわが身が往年の父と同齢に差し掛かれば、自ずと子も成長し逞しさを増す。父の苦悩と思いを知る▼同期への賀状準備の折に前職を想起。うるさく手厳しい係長と主任に挟まれ、早朝から夜まで残業代なしの日々。安易に“ブラック”と言うべからず。わが未熟さ故の迷惑料を差し引けば収支はトントン。逆に救われたのだ▼当時の先輩諸氏には確固たる責任と誇りがあればこそ、とにかく厳しかった。ところが今や、自らの無策を棚に上げた権利の主張が横行し、安易に恩人を騙す忘恩の徒も。先人への謝徳を忘れたか▼これに輪をかけ、一方的な出任せを盲信、正義と錯覚する衆まで現る。そこに公平さは皆無だ。そんな現代故に正道は常に批判の対象となる。先人がそれを許すとでも思うのか▼平成30年最後の本欄担当を愚痴で了するはずがない。負けない信念を次年への明るい希望とし、読者各位の健康を願いつつ、ことしの筆納め。

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