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  • 2018/12/19 (水)
  •  災いを転じて福となす―とはいっても、そう簡単に事は運ばない。日本漢字能力検定協会がことしの世相を表す漢字一文字として発表したのは「災」▼北海道や大阪、島根での地震、西日本豪雨、台風に猛暑など自然災害に加え、財務省の決済文書改ざん、大学の不正入試問題など総じて災いが続いた1年が見て取れる▼ともあれ、本来は天変地異の類いであろう天災もよくよく地球温暖化の原因を突き詰めれば、利便性を追求し、経済効果を重んじる故の人災といえまいか▼振り返れば平成7年1月の阪神淡路大震災を機に、自助のみならず共助の大切さが求められて久しい。それは、いつしかはびこった利己主義、“わがわが”の世相に一石を投じるきっかけにもなった▼年が明ければ30年の時を刻んだ「平成」もカウントダウン。新元号とともに新たな時代の幕開けへと胸躍る。合わせて、先人から今を生きる人々が長い年月をかけて築いた有形無形の財産や人命まで瞬時に奪い去る天災、人災ともに減少することを願うのみ▼干支の「戌」もそろそろ「亥」へと役変わりの準備。せめて年の瀬は“ワン”ダフルに終えたいもの。無論、1年の反省とともに。

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