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  • 2018/12/07 (金)
  •  県外の平野部から嫁いできた女性が「見渡す限り山ばかり」と、盆地への閉塞感を明かし驚いたことがあった。この地で生まれ育った者には当たり前の風景。山紫水明の豊かな隠れ里と思っていたが▼その山々では、半世紀前に植えられた木が主伐期を迎え、伐採と再造林が広がっている。農業なら日常生活の中で田畑と農家を目にするが、林業となると山の現場に行かない限り見ることができず、身近にありながら知らない人は多い▼高性能林業機械は普及してきたが、郡市の山林は急傾斜地が多く、チェーンソーでの伐採、植林や下草刈りなど人の手に頼らざるを得ない。しかし、林業従事者は高齢化と減少が進み、他産業と同じく人手不足に悩む▼そんな中、郡市の林業や木材関係者が今月16日、人吉市で初の林業就業説明会を開く。事業者から仕事内容を直接聞くことができる機会。地元から一人でも多く就業し、この地に残ることを願うばかり▼人吉市は、次世代に向けて小中学校で林業教室を開いている。将来就きたい職業にユーチューバーを挙げる子どもたち。山に目を向けてくれるのか。森林の守り手が減れば山は荒れて、山紫水明は失われる。

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