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  • 2018/11/07 (水)
  •  暦の上では「冬」を迎えたが、郡市の野山は晩秋。広葉樹が赤や黄色に染まり、五木村方面へ向かう行楽客が増えている▼先日、同僚たちと球磨三山の一つ、白髪岳に登山する機会に恵まれた。切り立った市房山に対し、なだらかな山容は女性的ともいわれる。実際、尾根伝いの登山道は登り下りが続くが、初心者向け。南限とされるブナが立ち、落ち葉のじゅうたんを歩くと実に楽しい▼前回は2年前の「山の日」制定の取材で夏に登ったが、その印象と景観は季節により大きく変わる。それよりも山頂や手前の三池神社周辺の変わりようは、昔の様子を知る人なら何度来ても驚かされるに違いない▼かつて山頂には周囲に草木が茂り、眺望を確保するため木の櫓があったほど。それが今では根本から倒れた枯木が目に付き、山頂は360度見渡せる高原状態。眺望が楽しめるようになった反面、その変貌ぶりに複雑な思いを新たにする▼白髪岳に限らず、自然環境の変化は各地で起きている。一旦、バランスを崩すとなかなか元には戻らない。登山道で目に付くのは、シカの食害から植物の生態系を守るために設営されたネット。自然の中に不自然さを感じてしまう。

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