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  • 2018/06/12 (火)
  •  鬱陶しい梅雨時。雨垂れの風情を感じながらの読書と思いきや老眼、いや遠視が邪魔をする。次第に活字が縁遠くなる▼読書離れや新聞離れが叫ばれて久しいが、“離れ”の原因は拡大表示や速報性など、利便性の高さを誇る外部要因ばかりではない。コンテンツ(中身)も多分に影響すると自省。ウェブは確実に新聞に取って代わりつつある▼そんな中、子どもたちのSNSの文面に愕然とする。短文や略語が並び、互いに推考を強要する状況。中でも「LINE」の“読み違え”の深刻ぶりを、同社の自殺相談窓口設置が裏付ける。意志疎通の課題とともに、文字や文章の力の大きさを痛感▼文部科学省と日本PTAが行う三行詩コンクールや民間企業の一行詩、高校直木賞の設置は好ましい。急な返事を求められるSNSとは異なり、言葉と正対できる読書と通じる。急ぐ時代にこそ、立ち止まる余裕がほしい▼電子書籍は購入済み。作品だってある。しかし、なぜか手にする単行本。書店での実書確認は時代錯誤かもしれないが、書籍はアナログの手軽さとともに「読む」実感の点で比類なし▼梅雨が中休み予報の週末。携帯から離れゆったりと文章に浸ってはどうか。

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