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  • 2025/11/08 (土)
  •  異常気象のことしだが、冬の到来を告げる立冬を過ぎれば話は別。夏日も終わり気温も低下、紅葉はさらに進むはずだ。夏に木陰を提供してくれた木々からの落葉ぶりも、季節の移行を印象付ける▼週末の日課は隣地より流れ落ちる落ち葉集めだ。多量な時季はうらめしい一方、木立のすき間が目立ち始めればわずかに寂しさが募る。確かに秋冬の落葉ぶりは、春の桜の散り方と異質でもの悲しい。枯れ葉の名のとおり、役目を終えた生命の様子が人生の終えんと重複するためか▼終えんといえば、過日に亡くなった先輩知人を思い出す。実に明朗快活、華のある方で回復後の再会を切望したが、緩和ケアを選択されて面会かなわず。誰にでも必ず訪れる死別のときゆえに、別れ方の価値とその重要性を実感した▼以前の小欄でも書いたが、落ち葉は腐葉土として大樹の元に返り、その後のさらなる成長を補助する。先述の知人の場合も立派な後継者が育っており、きっと笑顔で安堵のはず。過干渉ぎみの性格もあり、彼女はきっと多面でサポートするに違いない。朝霧のすき間から降り注ぐ陽光のように▼そう思えば悲しさもやわらぎ心が温まりそうだ。

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