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  • 2025/10/11 (土)
  •  世界最高権威を有する賞、それはノーベル賞と思う。小学生の将来の夢にすら登場するワードだから間違いなかろう▼わが国はこれまでに経済学賞を除く5部門で日本国籍を含め、延べ30個人と1団体が受賞済み。一足飛びではなく地道な基礎研究と、各人の信念あってこそとは関係者の弁。また彼らの研究動機は決してノーベル賞の渇望ではなかったと思う▼しかし中には私欲の人もいる。地球規模も過言ではない強大な権力を手にする米トランプ大統領だ。“平和賞狙い”は、ことしの委員会に向けたどう喝まがいの発言でも明確だが、昨夜は見事に落選して安堵。選考メンバーは圧倒的な権力に屈さず、良識は守られたわけだ▼確かに和平仲介ではイスラエルとパレスチナ紛争の一時停戦と交渉は実現したが余談許さず、ウクライナとロシアは難航中。それ以前に自国内に州兵を配置し米国民の分断、争いを誘発する張本人がなぜ平和賞を受け取れようか▼実はこのノーベル賞、ダイナマイトの発明で巨万の富を築いた人物の後悔で誕生したという。非核三原則で平和賞を得た佐藤栄作元首相の密約話も思い出す。皮肉と矛盾、光と影をも含んだ世界最高栄誉賞。

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