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2025/10/06
(月)
- 「スポーツの秋」「芸術の秋」「食欲の秋」「読書の秋」。夏の暑さが和らぎ農作物が実る秋といえば、さまざまな「〇〇の秋」を連想するが、家計を直撃する「値上げの秋」だけは歓迎できない▼今月1日、食品や飲料の価格が3000品目以上値上げされた。政府が暑さ対策として実施していた電気やガス料金の補助金も9月末で終了。前月に比べ使用料金の値上がりが予想され、4月以来となる半年ぶりの値上げラッシュは国民の生活に多大な影響を及ぼす▼「はたらけどはたらけど猶わが生活(暮らし)楽にならざり ぢっと手を見る」。天才歌人とうたわれたが貧苦と不遇な人生を送った石川啄木の代表作。率直に生活苦と素朴な心情を吐露した短歌で、明治43年に刊行された歌集「一握の砂」の中の1首▼「はたらけどはたらけど…」を詠んだ背景には自らの貧しさと労働者階級の立場に立つ社会主義思想の影響があったとされるが、啄木が生きた時代から100年以上たった現代にも“格差”は根強く残る▼「節約すれど節約すれど猶わが生活…」。そんな悲鳴が聞こえてきそうな秋の夕暮れ。今月中旬にも選出されるであろう新首相には物価高対策に注力してほしい。