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  • 2025/09/13 (土)
  •  かのクレオパトラや始皇帝らが求めた不老長寿(不死)。貴賤や貧富を問わず、いつの時代でも人びとは“老い”を恐れたが、果たしてそれほど嫌悪されるものか▼個人的には上3人の子らが社会人となった今、気力や体力、時には知力ですら衰えを痛感する機会が増えた。他方、知己の人は皆元気旺盛でサーフィンにすら興じる先輩もいる。そんな彼らの共通点こそ外見は無論、総じて際立つ意識の若さ。まずは心持ちこそ重要だろう▼思索的には生きること自体が死に向かう旅であり、誰もが平等に加齢を重ねて必ず老いるのは世の習い。ちなみに、わが国の65歳以上の高齢者数は昨年9月時点で3625万人、総人口に占める割合(高齢化率)は29.3%と過去最高ながら、一昨年の高齢就業者もまた914万人と過去最高だ▼東京の、ある不動産企業が新卒ならぬ老卒採用を進めている。過去の知見を求めてのことだろうが、なんとも「老」の心象がよろしくない。今や老人会もシニアクラブへと名称を変える時代だ。よって採用名は「旧卒」や「練達」などはどうだろう▼敬老の日を迎える。先述の“若い”先輩を念頭に老いと向き合えばそれを甘受、うまく付き合えそうだ。

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