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2025/06/09
(月)
- 「正直にほとばしる熱血でこの世の正義について声高く主張する人は那須さんが最後の人だったかもしれない」。アンパンマンの作者として知られるやなせたかし氏が敬愛する先輩である湯前町出身の風刺漫画家、那須良輔氏の死去に伴い寄せた追悼文の一節だ▼那須氏の偉業を保存・展示する館として平成4年度に開館した「湯前まんが美術館」では現在、共同巡回展「これが漫画!展」を開催中。全国4カ所の公立美術館が連携した同展では、明治以降の日本の近代漫画の礎を築いた那須氏ら漫画家3人を紹介。原画や関連資料など約150点を展示している▼日本初の“職業漫画家”と言われた北沢楽天氏。昭和期に国民的人気を誇った子ども向け4コマ漫画「フクチャン」の作者である横山隆一氏の作品も展示。明治から昭和にかけての漫画文化の歴史と変化をたどる▼ユーモアと強いジャーナリズム精神を持って戦後日本を批評し続けた那須氏の作品らは見どころ満載。風刺漫画が描かれた当時の世相や時代背景も分かりやすく掲示されており、“郷土の偉人”の功績を再認識できる▼各館の貴重な収蔵品も拝見できる同展の湯前町での開催は7月6日まで。ぜひ観覧を。