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2025/03/28
(金)
- 被災したJR肥薩線の八代―人吉間の通称、川線復旧へ向けた、県と沿線12市町村でつくる再生協議会。注目されていた駅配置案で示されたのは、那良口、海路、瀬戸石の3駅廃止▼いずれも被災前から乗降者は少なく“秘境駅”と呼ばれるほど。赤字路線を復旧し維持していくには観光と日常の利用が欠かせないが、「拠点性」と「にぎわい創出」の観点から検討した結果、3駅は将来の利活用が見通せないという▼同協議会は、31日に開かれる国、県、JRの最終合意に向けた検討会議に配置案を提案するが、駅周辺の住民、往時を知る国鉄OBからは「残念」「一度廃止すれば元には戻らない」と惜しむ声も▼3駅の歴史を振り返ると、海路駅は新しく戦後の昭和27年、那良口駅と瀬戸石駅は古く明治43年の開業。那良口駅は木材搬出の貨物駅として栄え、瀬戸石駅は求广川八郎さんの渡し舟で有名だったが、時代とともに駅を巡る環境は変化。3駅以外も豪雨災害後、駅舎や家が姿を消し、駅周辺は大きく変貌している▼川線復旧には長い時間を要する。その間、沿線の復興とともに復旧後の利用創出をどうするのか。地元に与えられた課題は大きい。