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2025/03/14
(金)
- 先週、人吉市内を流れる御溝川の二次放水路が完成し、4月から運用が始まる▼御溝川は、山江村の万江川から取水し、同市下薩摩瀬町の福川に合流する全長6キロの一級河川。相良町にあった相良家下屋敷に水を引くために造られ、水が汚れないように牛や馬が溝に入ることは禁じられていたとの伝承も▼ただ、川幅が狭く水深も浅いため流下能力が低く、大雨になると市道冠水や住宅浸水を引き起こし、水害常襲地としてテレビでもたびたび報道。水害対策は長年の懸案となっていた▼二次放水路は、合ノ原町の本川から万江川へ放流する1.3キロ。平成14年度に着手したが地元合意が得られず難航。令和2年7月豪雨後、「緑の流域治水」に位置付けられて事業が前進。瓦屋町で1.7メートルの水位低減効果が期待されるという▼流域全体の総合力で安全安心の実現を目指す「緑の流域治水」。数ある治水対策の中でも整備規模の大きな流水型ダム、遊水地を巡っては、環境影響や農地を失うことに反対する住民や農家は多い▼二次放水路は完成まで23年を要したが、果たして住民や農家の理解は得られるのか。長丁場も覚悟し、今後の成り行きを伝えていきたい。