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2024/10/31
(木)
- 朝晩の冷え込みは進んだがまだまだ。それは紅葉。一日の最低気温が8度以下で色づき始め、5~6度を下回れば錦秋の到来だが、ほど遠い。そろそろ彩りの変化という自然美にも芸術性を感じてみたい▼先週の人吉球磨総合美展は目の保養に十分。久々の訪問の契機こそ独立展初日を伝える在京知人の便りだった。一昨年、県内54年ぶりに会員推挙された彼の同級生、倉橋完治さんの作を鑑賞し、郡市の風土と歴史に根ざした作が輝いていたとの寸評を付記。芸術を介した友情のぬくもりだ▼芸術といえば九州国立博物館は先週「人吉球磨の玉手箱」と題した特別展を開始。地元民にはレアな文化財だが、むしろ都市部住民の目に触れる機会が多い皮肉さ。県内の大半を占める観光材料に足る国、県指定の社寺仏閣を有する郡市の場合、宝の持ち腐れかと心配。同展の客足で価値の大きさが分かるはずだ▼先の独立展を主宰する独立美術協会で思い出すのが宮崎精一氏。痩身で面長、象徴的なひげは無論、笑顔の合間に見せる眼光炯炯のまなざしが子ども心に印象深かった。あの孤高な芸術家然の雰囲気と意気、洒脱さは確実に後輩が受け継いでいる▼芸術の秋たけなわ。