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  • 2024/10/12 (土)
  •  恨めしかった猛暑期を過ぎ、日中の風は確実に秋のそれへ。空を見上げたら雲は高く気持ちがよい。夜間の空はなおのこと美しさが際立つ▼星空と月夜だ。湿度の低下で透明度が増し、多少の冷え込みが気分を引き締める。秋の星座に乏しい浅薄さを悔やむほどの輝きは必見だが、今月15日の“後の月”、十三夜も楽しみのひとつ。不祥な“片見月”を避けつつ見事だった十五夜に続く観月を楽しみたい。もちろん団子も忘れずに▼個人的にもそうだが古来、日本人は未完の美を好む傾向だ。茶道では侘び茶を大成した千利休、華道ならば草木の風興をわきまえ、時には枯れた枝も用いるとの「池坊専応口伝」などがこれを裏付ける。今回の十三夜は満月に少し欠けるが、微妙な変形ぶりが素晴らしい▼盈虚、いわゆる月の満ち欠けごとに名前をつけた雅趣とともに「こもりくの 泊瀬の山に 照る月は 満ち欠けしけり 人の常なき」(古歌集)のように、盛者必衰の理すら語る先人の存在は大きい▼政治家の輝きも月と同じく時々で変化するもの。衆議院を解散した石破首相の向かう先は満月、新月のいずれか。まぁ盈虚は繰り返すから、結局はそういうことなのだろう。

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