HOME>>瀬音

  • 2024/10/01 (火)
  •  山を一つ越えただけで、文化の違いを感じられるのは宮崎、鹿児島県と隣り合う地域柄と思う。先日、人吉市に接する鹿児島県伊佐市の夜を堪能した▼久七トンネルを抜けたら、そこは方言が「球磨弁」と似ているようで何か違う。特に語尾のイントネーションが緩やかな感じがする▼居酒屋の焼酎は米ではなく芋。米を原料とした球磨焼酎の敵と思っているが、「郷に入っては郷に従え」。“敵情視察”として伊佐市が誇る大口酒造の黒伊佐錦をロックでいただく▼実は、この大口酒造で働き始めた友人から飲みの誘いを受けての出来事。ここと同じ焼酎どころとあって、魅力的な居酒屋があちこちに見受けられた▼焼酎の歴史に欠かせないのが伊佐市大口の郡山八幡神社。今から466年前、神社を修復中の大工が壁に「ケチな神主が一度も焼酎を飲ませてくれない」と落書きしたもの。これは球磨焼酎のことで、隣り合う地域が昔から焼酎でつながっているのはうれしい▼芋焼酎の本場で、球磨焼酎の良さも再認識できた一日でもあった。そんな大口酒造で20日、新焼酎祭りが開催される。ことし出来たての新酒が蔵出しされるという。また“敵情視察”に行ってみようか。

トップへもどる