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  • 2021/06/26 (土)
  •  7年前、人吉市で起きた女子高校生殺害事件。若い命の喪失は理由がどうあれ悲しさの極みで、当時の記憶が鮮明故に辛さも不変▼若者の命で気になる子どもの自殺数。文部科学省によれば昨年度に自殺した小中高校生は前年比160人増の499人。統計を取り始めた1980年以降最多となり、うち小学生14人、中学生146人、高校生339人▼巷にあふれる部外者や半可通の大人は子ども自身の心の弱さや家庭、教育現場などへ社会の名を借りた批判ばかり。たいていは具体的な解決策を見出せず単なる論評で終わる。著名人の自殺への感化など思春期特有の心の揺れは端緒。肝心なのは彼らの話の傾聴だ▼時はコロナの世。学業をはじめ部活動などに夢中で取り組み、仲間らと語り合う青春の日々を奪われた社会環境である。特に昨夏の水害から復興途上の郡市では、子どもへの負担の大きさは計り知れない。自然と人情味豊かな古里の“球磨っ子”にも我慢の限界はある▼ちなみに、不慣れな仮設住宅生活を強いられる被災者全般への精神的ケアも必須。幅広く虚心に話を聞き共感することが大切ではないか。身近なやさしさが心を、またその先で命を救う。

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