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  • 2021/06/12 (土)
  •  郡市輩出の偉人はもとより、活躍中の同郷人名を挙げれば実に豊富だ。人口割合では他自治体を軽く凌駕すると勝手に自負、心が満たされる。純朴さを育む環境や文化的背景など、ふるさと球磨人吉が秘めた価値のひとつかもしれない▼その一人が琉球大学の武井弘一さん。国際地域創造学部准教授で日本近世史専門の気鋭の人。昨年1月には本紙連載「新崎千代―沖縄で果つべき命ながらへて―」を寄稿いただいたからご存じの読者も多かろう。ついでに人吉球磨剣道連盟会長、武井章さんの甥と付記すればさらに身近に▼昨夏の水害時、多くの同級生の被災報で傷心中に執筆した書籍が先月31日に発売された。福岡ユネスコ協会の講演の様子と本紙連載を紹介した「琉球沖縄史への新たな視座」(弦書房、税込748円)。A5判サイズの64㌻だから気軽に読める。ぜひ購読を▼書籍といえば相良村の小山勝清、隣県の伊佐市には直木賞作家の海音寺潮五郎ら著名作家がいる。災害復興もままならず何かと気ぜわしい日々ながら、周囲には田植え前の代田やその後の植田など、のどかな景色が広がる▼ここはあえて静かに文字と向き合うひとときを作っては如何か。

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