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  • 2021/06/09 (水)
  •  東京五輪まで1カ月半。コロナ禍での開催是非を巡る世論調査の結果発表が相次ぐ▼中止や無観客など意見は分かれるが、もろ手を挙げて開催を求めるのは少数。アスリートのためと言いながらも経済浮揚を狙っての誘致は逆に損失による負の遺産になりそう。盛り上がりに欠ける中で開催意義を問われると答えに困る▼先月、人吉市で行われた聖火リレーのランナーたちが一様に口にしたのは昨年の7月豪雨の被災地へ元気を届けたいという思い。だからこそ大雨の中でも聖火とともに笑顔を絶やさずに駆け抜けた。コースとなった中心市街地では、その後さらに建物の解体が進む▼地元町内会長に聞くと、マンションを除いた約90世帯のうち住んでいるのは14世帯程度。店を再建しても人がいなければ商売は成り立たない。市内では先週、被災市街地復興推進地域(案)の住民説明会、今週から重点地区で復興まちづくり地区別懇談会が開かれているが、住民からは将来が見通せない不安や焦燥から不満の声も多く上がる▼発災から「もう1年」「まだ1年」。被災者の受け止め方はさまざま。ただ、見慣れた人吉中心部の街並みは姿を消しつつある。

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