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  • 2021/05/26 (水)
  •  塵も積もれば山となる取り組みとなりそうな「田んぼダム」▼水田が持つ多面的機能の一つに水をためてゆっくり流す洪水防止機能は知られていたが、穴の開いた木製のせき板一枚を水田の排水桝に設置することで雨水貯留機能をさらに高め、球磨川や支流のピーク流量を抑えるのが狙い▼県は「緑の流域治水」の一つに掲げ、今年度から郡市7市町村にモデル地区を設け効果の実証実験事業を始める。先週、人吉市で行われたせき板設置式で蒲島郁夫県知事は「一枚の効果は大きくないが、何十、何百となれば大きな力になる」と呼び掛けたが、試算では球磨川流域の約3300㌶で取り組むと500万立方㍍の貯留施設になる可能性を秘めている▼反対や困惑の声が上がる「流水型ダム」や「遊水地」とは違い「昨年のような水害が軽減できるのなら」と下流のために理解を示す農家は多い。水深が増すことで生育の影響、畔の崩れを懸念する声もあるが、来月には関係農家にせき板が配布され、実証実験がスタートする▼その効果は農家の協力、流域に実践が広がってこそ発揮できる。これから2年間の実証実験の結果、検証委員会の評価を待ちたい。

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