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  • 2021/02/22 (月)
  •  地域の“宝”でもあった多良木高校が閉校して間もなく2年を迎える。久しぶりに同校を訪れたが、正門は閉まり、生徒らの姿が見られず、ひっそり静まり返った校舎の光景を見ると一抹の寂しさを感じる▼同校は大正11年に創立。約1万9000人の卒業生を送り出した伝統校だったが、少子化に伴い県教委の高校再編の対象校となった。当時は存続のために約3万筆の署名、白紙撤回を求める県民集会や街頭行動、県への申し入れ、要望書提出など、さまざまな住民運動を展開し徹底抗議した▼しかし願いは届かず、平成31年3月31日に卒業生や地域住民など多くの人たちに惜しまれつつ97年の歴史に幕を下ろした。そのため、学生服姿の高校生を見ることが少なくなり、地域住民から「寂しくなった」という声が聞かれる▼県教委と多良木町は、約6万6000平方㍍という広大な高校跡地に多良木中学校と球磨支援学校の移転を計画。令和5年9月に移転する予定。再び生徒たちの明るい笑い声が戻ることを願っている▼同町は人口減少と少子高齢化が進む。高校跡地利用が一つの起爆剤となって若い人たちが地元に多く残れるような施策も今後大事になるだろう。

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