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  • 2020/09/28 (月)
  •  伝えるとはどういうことか、その裏には何があるのか―。ふと考えることがある。学生時代、地方行政をかじり、ゼミで地方の在り方を考えた▼あれから三十数年、古里は高速道路で都市部とつながり、“憧れ”のファストフード店もオープンした。少子高齢化、過疎化が著しい地方にあって地方創生をどう進めるか官民一体のアイデア、行動が求められる最中のコロナ禍、豪雨災害▼あの日からやがて3カ月を迎えるにあたり、郡市の避難所や仮設団地で復旧・復興へ思いをめぐらす人たちに話を聞いた。「私でよければ」と、快く応じていただいた女性の一人は、長年営んでいた店、自宅とも全壊▼人の目が気にならないと言えば嘘になるが、気にしないようになった。物や事への固執がなくなり、生き方が変わったという。言うまでもなく、何かを話す心境ではないという人もいる▼十人十色、被災状況が異なるように思いや考え方もそれぞれ。理想と現実に距離を感じつつ「また古里で暮らしたい」と声を大にした小学生の願い、気持ちこそ地方を創生する原動力ではなかろうか。コロナの終息と合わせて、災禍がこれ以上起きないことを祈りつつ。

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