HOME>>瀬音

  • 2020/09/12 (土)
  •  「子供叱るな来た道じゃ、年寄り笑うな行く道じゃ」。出典不明の名言だが、個人的にはあまり共感を覚えない▼躾の範囲ならば子どもを叱るのは半ば当然であり、高齢者とは関わりを深めるほど滑稽に感じ笑いの漏れる機会は自ずと増える。ただし、これらは怒りと嘲笑を除いた場合に限り、十分なコミュニケーションが不可欠と前置き▼コミュニケーションと似た言葉がコミュニティー、いわゆる共同体。人が複数集まれば自然発生しそれぞれの役割が決まる。家庭や職場、社会の全てがこれに該当し、年齢や役職などの肩書きをはじめ、これまでの足跡に基づき関係性が決まる▼今回の災害復興支援では実に多くのコミュニティーが誕生し、有益で慈愛あふれる出会いが続く。そこに年齢やキャリアは不要で、“誰かのため”との一途な思いが人付き合いを助勢し次なる希望を結ぶ▼その反面、被災が転機となり別れを導く例も各所で散見する。冒頭の名言は「来た道行く道二人旅、これから通る今日の道、通り直しのできぬ道」へと至る▼錆びた経験則を断ち切れず、同じ過ちを繰り返す人生は駄目だ。災害を含めた経験を糧に、前向きな一歩がもたらす近未来に期待したい。

トップへもどる