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  • 2020/08/29 (土)
  •  豪雨災害の発生から約2カ月を経て、自然への畏怖を感じる。われわれは生きているのか、それとも生かされているのか▼一昨日、台風8号が九州西部を通過。農作物の落果や豪雨はなかったが、10月までは台風シーズン。いまだ乾燥中、または清掃や片付けがまだの住宅も多い。雨に加えた強風が次なる災害を招き、被災者を苦しめないことを願うばかり。油断大敵▼「時により 過ぐれば民の 嘆きなり 八大竜王 雨やめたまへ」は鎌倉三代将軍、源実朝による災害救済を仏に願った歌。一方、大伴家持は「我が欲りし 雨は降り来ぬ かくしあらば 言挙げせずとも 年は栄えむ」と雨乞いの歌を残す▼生活に水は欠かせず、状況次第では願いも変わる一例。「家族を奪った海が怖いし憎い。しかし、この海のおかげで生きていられる」。東日本大震災被災地の漁業関係者の言葉を思い出す。やはり、われわれは生かされている▼郡市では被災により当地を離れる人が増加。先日、身近で高齢女性を見送った際「もう戻ることはなかね」とぽつり。古里との決別は断腸の思いだろうが、将来を見据えた判断▼自力では術がない現実もまた生かされている表われかも。

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