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  • 2020/08/27 (木)
  •  食は元気の源。家族や気の合う仲間と食卓を囲めば会話も弾む。古里が一変した7月豪雨災害からやがて2カ月、ありがたいことにボランティアの炊き出しが郡市内外から相次いでいる▼小紙詳報のとおり、先の日曜日はプロの料理人や社会奉仕団体などが自分たちにできることをと腕を振るい、会場は長蛇の列。好物のハンバーグ弁当を食べた知人は「とてもおいしくて元気が出た。感謝しかない」と喜んだ▼食といえば、京都の学生らに長年親しまれている“名店”が近々のれんを下ろすようだ。食事代を持ち合わせていない学生は30分間皿洗いをすればおなかいっぱい無料で食べられるという▼親の仕送りが頼りだった学生時代、東京の飲食店で同じような経験がある。幾度か無料でごちそうになったカツ丼の味と「胃袋だけでなく心を満たすのが食事。親孝行しなよ」と気風のいい店主の言葉は35年たってもはっきり覚えている▼お金を払えば何でも食べることができる時代にあって損得抜きの炊き出しボランティアの人たちに改めて元気の源となる食事のありがたさに気付かされた。苦境に立ったときの恩こそ忘れてはならない。亡き父の口癖だった。

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