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  • 2020/07/11 (土)
  •  球磨川の氾濫や土砂崩れなどで人吉市と球磨村が広範囲にわたって甚大な被害を受けた。治水対策は「大丈夫なのか」と、これまで幾度となく警鐘を促す記事を執筆してきただけに残念でならない▼球磨川の治水対策の歴史には長いものがある。昭和38年から3年連続の大洪水をきっかけに同41年に国が「川辺川ダム」建設計画を発表。その後、村内をはじめ、下流域で賛否が分かれるなど事業は進展しなかった▼平成20年には、蒲島郁夫県知事が「ダム反対」を表明。それを受けて国や県、流域市町村で「ダムによらない治水を検討する場」を設置。国、県は協議の中で「スピード感をもって」という言葉をよく使ったが結論を出せずじまい▼全国的な局地豪雨による甚大な災害が発生する中、同28年からは「球磨川治水対策協議会」に切り替え、引堤を中心に河道掘削や堤防嵩上げなどを組み合わせた10案に絞り込んだものの、決定には至っていないのが現状。スピード感をもって対策を講じておれば今回の水害はどうだったのか▼今後の検証を早急に進め、計画を練るべきだろう。そうでないと流域住民は不安な日々が続き、安心して生活できない。

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