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  • 2019/11/07 (木)
  •  沖縄県のシンボルであり琉球王国の歴史を伝える首里城の火災から1週間。暗闇を照らす巨大な炎に包まれ崩れ落ちていく映像は衝撃的。熊本地震で被災した熊本城の石垣に熊本県民がショックを受けたように沖縄県民の喪失感は大きい。それは、多くの人が口にした「言葉が出ない」に表れている▼先月、市内で開かれた熊本県建築士会人吉支部の創立60周年記念講演会で、専門家が歴史的建造物の存在意義を解説。地域のランドマークにとどまらず、住民共通の記憶、誇り、人格形成にも影響を与え、コミュニティーを育む精神的共有財産との指摘に納得▼人吉球磨でいえば国宝・青井阿蘇神社をはじめ、各市町村や各集落に相良700年を象徴する貴重な社寺建築などが数多く点在している。台風や地震などの天災、大火や戦禍に遭わず、令和の時代に存在するのは奇跡的。これも地域住民の護持があったからに他ならない▼ことし文化財保護法が改正され、「保護」から「活用」へ大きくかじを切った。郡市では「日本遺産」の認定を契機に活用を進めているが、火災で失うようなことがあっては元も子もない。後世に手渡す現世の責務としてよりどころの再点検を。

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