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  • 2019/11/05 (火)
  •  一瞬、驚いた後に笑顔で「ありがとう」。旅先で手助けした障がい者との一会だが決して特別ではない。たとえわずかでも、困っている人への厚意の機会は常に私たちの周囲にある▼一昨日、山江中の生徒と郡市の視覚障がい者らがウオーキングを楽しみ、参加した子どもたちは「これからも支えていきたい」という。障害があればこそ生まれた交流だが、その基本は相互扶助という、人として当然の生き方に立脚している▼今春、視覚障がいの方を対象に講話の機会を得た。「障害」や「健常」などの呼称には、皆さんが率先して異を唱えるべき、などと放言気味ながら持論を展開。総じて好評を得た反面、社会のバリア(障壁)の存在を実感▼その講演は、ウオーキングを主催した福山洋二さんの依頼でもあったが、彼の行動の源こそ「反骨」ではないかと思う。常人と変わらぬ尊厳を追い求め、常人以上の結果を生み続ける姿勢に敬服する▼冒頭の出会いは、半身に障害のある男性。駐車場からホテル入り口までの道程で荷物を分担したが、彼は卑下せず、淡々と謝意を述べた▼障害を持つことで理解が及び、痛みを知ればこそ優しくなれるのも道理。身につまされる。

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