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しらさぎ荘の髙山女将 雨庭の勉強会で思い明かす(2025/11/07) (2025/11/07)
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勉強会で発表する髙山女将
 令和2年7月豪雨災害から5年。球磨川流域の治水効果向上の手法として、個人や企業などの多くが取り組める「雨庭」の普及に向けた勉強会が4日、人吉市役所で開かれた。事例紹介として、「くまもと雨庭パートナーシップ」から景観賞を受けた同市の温泉旅館「しらさぎ荘」が、豪雨災害からの再建に込めた「水とともに生きる宿」の思いをひもといた。

●緑の流域治水 県内に広がる
 大規模な豪雨災害を踏まえた河川整備に加え、遊水地活用や森林整備など、自然共生を図りながら流域全体で安全・安心を実現する「緑の流域治水」の推進が進められている。雨庭は、その治水効果を高めるため、個人や企業など多くの方が参画できる重要な手段と位置付けられている。
 産学官民が連携して雨庭の普及に貢献する任意団体「くまもと雨庭パートナーシップ」は、2030年までに熊本県内に2030カ所の雨庭を整備することを目標に、普及、認定、表彰などに取り組んでいる。現在、旅館や高校、個人宅、公共施設、事業所など28カ所を認定している。
 勉強会は人吉市の主催。雨庭の普及へ向けて5月から始めた整備補助金制度を知ってもらおうと企画した。
 女将の会、商工会議所会員、造園業者などから約70人が出席し、「緑の流域治水」や「雨庭」の概要などが説明された後、事例紹介が行われた。また、肥後銀行人吉支店の取り組みも紹介された。

●全壊からの復興「自然と共に」
 令和2年7月豪雨災害で全壊した人吉市下林町の温泉旅館「しらさぎ荘」の髙山多磨女将が登壇した。創業大正8年、100年を超える歴史を持つしらさぎ荘は、豪雨で4.5メートルの浸水被害を受け、建物が全壊した。
 当時は「心が追いつかない日々だった」と言うが、多くの方々の励ましを受け、「もう一度人吉に明かりをともしたい」との思いで再建を決意。「ただ元に戻すのではなく、『水と共に生きる宿』を目指す」という思いが強くなった。
 再建中、熊本県立大学から「緑の流域治水」の考え方を学ぶ機会を得た。その考えは、川の水をせき止めるのではなく「町全体で緩やかに受け止める」というもので、被災を経験した女将の心に深く響いた。
 再建の設計では、意識的に「できるだけ雨を地中に戻すよう、自然の流れを生かした庭」を追求。再建後、同大学から「ここはもう立派な雨庭になっている」と評価され、初めて自分たちの行いが流域治水そのものだったと気付き、正式に雨庭認定を申請した。

●災害記憶を教訓に
 玄関前の庭園内に設けられた雨庭は、本館屋根の雨どい4本を接続し、雨水を水路へ直接排水せず、地中に浸透させる仕組み。
 中央部に川砂利を敷いた小川を設けており、短時間に大量の雨が降っても、雨庭がクッションの役割を果たし、下水や球磨川への負担を軽減する。これは専門的な設備ではなく、「自然の力を信じて水が帰る場所を作る」という考えで生まれた。
 髙山女将は、この雨庭について「災害の記憶を未来への教訓に変え、『水と共に生きる宿』を目指す旅館の象徴だ」と語った。
 この庭は、宿泊客から「水の音に癒やされる」「雨の日が楽しみになった」という声が聞かれ、「水を排除せず、水と共に生きる」という新しい暮らし方の原点となった。
 被災経験を学びへと変え、「水と共に生きる宿」として人吉の風景の一部であり続ける決意を示した。

●普及へ整備費用を補助
 人吉市は「緑の流域治水」推進のため、雨水を一時的に貯留・浸透させる施設である「雨庭」の整備費用を補助する。
 対象者は市内に住民票または事務所があり、市税の滞納がない個人・法人。
 補助対象は整備(調査・設計・工事)と看板設置費用。
 補助率は2分の1で、上限額が個人50万円、法人200万円。人件費や維持費は対象外となる。
 申請し、決定後整備を行い、実績報告を経て補助金が支払われる。
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