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  • 2019/05/28 (火)
  •  近づけば、素人目にも早急な手当てが必要と見える人吉城跡の石垣の膨らみ。一部損壊が確認されて早1カ月、もうすぐ大雨の心配がある梅雨だ▼「わくど石はどこへ?」と問われた。人吉城の石垣を積む際、何度積んでもすぐに飛び出す石があり、カエルに例えて郡市の方言で「わくど(わくず)石」と命名されたと「肥後相良今昔史誌」にも。損壊石垣の近くに見られ、本欄で過日にふれた▼すぐに外れることから「いぼがとれる」とあがめられ、線香を立て、お茶などを供えて祈願した跡があった。その、知る人ぞ知る“城跡の神さま”が姿を消したというのだ▼人吉城歴史館に尋ねると、上部の重みで飛び出した石3個のうちに「わくど石」も含まれていたという。だから、ブルーシートで覆われ、見えなくなったのだ。今、復旧などを検討中というから、完工の暁には再び拝めるのか、それとも石垣の中に入ってまた飛び出すのか、興味深い▼寛永16(1639)年完成の人吉城跡石垣の膨らみが指摘されてから長い。振動が石垣へ悪影響?という理由で、前面の道路を車両通行禁止にとの話も過去に出た▼大事な国指定史跡の石垣総点検と、復旧、抜本対策は急務だろう。

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