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  • 2019/02/27 (水)
  •  国営川辺川総合土地改良事業は、きょう27日で変更計画確定から1年が経過した。昨報でもふれたが、廃止により不要となった幹線水路の処理、造成農地団地の水手当へ向けた準備が始まっている▼事業は、川辺川ダムから農業用水を取水し、球磨北部の3110㌶の農地を潤す計画で昭和58年度から着手。35年もの間、最初の変更計画を巡る裁判、既設導水路活用案の断念など紆余曲折の歴史をたどった▼3年後の事業完了を目指しているが、球磨北部の農業振興をどう図っていくのか。受益農家の負担軽減、老朽化している既存水利施設の改修など課題は残る。事業着手時、青壮年だった農家は高齢者となり、「時間がかかり過ぎた」との嘆きも▼同じく長い時を経てようやく実現したのが人吉橋下流左岸の堤防整備。昭和40年の大水害以降、半世紀にわたり市内で唯一の未整備箇所だった場所。昔の球磨川河岸の面影を残していたが、川幅が狭くて土砂も堆積しやすく治水上問題を抱えていた▼真新しい堤防を目にしてさまざまな思いを抱く市民は多い。今後、ダムによらない治水をどうするか。「平成」から新元号の時代へ引き継ぐ宿題の一つだろう。

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