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  • 2019/02/08 (金)
  •  年明けから古き良き伝統行事(習わし)が続く。呼び名が地域で少々違う“どんどや”然り、無病息災や五穀豊穣を願う人々の思いは時代こそ変わっても不変であるが故、自己欲とは無縁に家族や親族の安らかな暮らしを案じる思いやりがあってと理解する。その過程で「ありがとう」の心も芽生えよう▼さて、きょう8日は、古くなったり折れた針を供養する「針供養」。着物を縫う針に感謝を込め、豆腐やこんにゃくなどに刺して供養する習わし。手元の辞書に2月8日もしくは12月8日に針仕事を休み、折れた針を集めて…とある▼電動ミシンなどなかった時代、嫁ぐ際に裁縫道具を持参する人もいたと聞く。一針一針手縫いの着物は親から子や孫へ大切に受け継がれた。半世紀ほど前、人吉市瓦屋町の和裁教室に通っていた80歳半ばの母は年に一度、日ごろの感謝を形に示す大切な日だったことを忘れない▼今や安価で大量生産、身の回りはさまざまな物であふれている。果たして感謝の気持ちを持って使用しているか、無造作に捨ててはいないか。人も物も大事にする、時代に捉われない精神論こそ伝統行事の本質のような気がする。改めて意味を考える一日に。

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