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  • 2018/04/26 (木)
  •  会えば「先生」と尊敬を込め素直に呼べる人だった。穏やかな口調で気さくに、時にキラリと光る話をしてくれた▼元県議会議長の松村昭さんが21日、86歳の人生を閉じた。旧上村長から県議に転じて6期24年。政治、経済をはじめ、各界リーダーとしての大きな功績は誰もが認めよう。球磨郡はもとより人吉市も県も得がたい重鎮を失った▼「郡市県議新春鼎談」が本紙新年号を飾ったのは、時代が平成に変わる直前の昭和64年のこと。高速道路八代~人吉間の開通を控え、テーマは「“激変の年”にふるさと人吉球磨はどうなるか」▼郡市発展に欠かせない県とのパイプ役の県議の意見、抱負を聞かせてもらう狙い。球磨郡区3期目の高田昭二郎さん、人吉市区2期目の前田貞治さんと、座は盛り上がった▼初当選から2年目の松村さんは「過疎や遅れをはね返す好機」と述べ、郡市での農業と林業の重要性を力説。「相良700年の歴史が眠る点を線でつなぐ工夫を」と訴え、第三セクター化が迫るJR湯前線の重要性、川辺川ダム問題でも自説を披露した▼終了後に求めた「迎春の決意」の色紙に書いたのは「至誠」だった。3人とも黄泉の国の人となった。合掌。

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