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  • 2025/11/17 (月)
  •  人吉市の昔ながらの街並みを残す鍛冶屋町通りで先日開かれた「妖怪まつり」は、妖のコスプレをした参加者と大勢の観客が行き交う幻想的な光景を生み出した▼テレビアニメ「夏目友人帳」のキャラクターに扮したり、狐のお面を付けたりした人々が薄暗い通りを歩き、妖怪と人の境界線がなくなった不思議な世界を織りなしていた。筆者も「映画泥棒」に扮して参加したことが、この祭りの持つ、自由で親しみやすい雰囲気を物語る▼なぜ、私たちはこれほど妖怪に引かれるのだろうか。その答えは、妖怪たちが、昔から大切にされてきた自然や生き物、文化を敬う心が形になった存在だからではないのか▼人吉球磨の豊かな自然や相良700年の歴史に対する「畏敬の念」は奥深い。鍛冶屋町通りが「夏目友人帳」ファンから特に「夏目愛」を感じる場所とされる点も、その文化的背景の深さを示している▼この祭りの機運に合わせ、鍛冶屋町通りの小さな石倉「Chobit」を活用し、「妖漫画館」が新たな観光スポットとして誕生した。鍛冶屋町通りが妖怪の世界を切り口に、さらに魅力的な場所へと進化し続けている。

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