HOME>>瀬音
-
2025/07/04
(金)
- 令和2年7月豪雨からきょうで5年。被災地では復興へ歩んでいるが、昨日の災害特集号にあるように肥薩線やくま川鉄道、球磨川の橋梁など復旧の途中にある▼一方、被災前から風景が一変し、目にするたび複雑な思いを抱くのは球磨村の渡地区。中心地にあった駅舎、商店、郵便局、茶屋集落が姿を消し、一帯では治水対策の引堤や遊水地の整備が進む。渡地区に限らず、被災地では災害を契機に安全な他地域への転出が増えて人口減少に拍車をかけ、今も影響は続く▼先日、人吉市で行われた犠牲者追悼式。以前は、遺族代表が追悼の言葉を述べていたが、ことしの代表を務めたのは高校3年生の境目悠真さん。自宅は被災を免れたが、父親が下青井町で経営していた美容室が被災。災害を自分事として捉えること、語り継ぐことの大切さを訴えた▼追悼式後、会見に臨んだ境目さんは、今後の復興に「人吉に戻ってくる人を増やさないといけない。若い人が引かれるものを」。水害をもたらした球磨川に「小さい時から慣れ親しんだ川。対策をしっかりして魅力を生かし、上手に付き合っていかないと」―。明かした思いは、次世代からの提言に聞こえた。