HOME>>瀬音

  • 2025/05/14 (水)
  •  先日、久しぶりに熊本市内に行く機会があり、今では数少なくなった模型店をのぞいた▼店内には、昭和の少年たちには懐かしい戦艦や戦車などのプラモデルが壁一面並び、見ているだけで童心に戻る。その中で目に留まったのは、昭和の風景を再現した模型▼昔も情景シリーズと銘打ち「駄菓子屋」などの商品はあったが、昨今の昭和レトロブームを受けて新作が登場。土管や少年を立体化した「空地」をはじめ、飲み屋街にギター弾きが立つ「人生横丁」は、こんなものまでと笑ってしまい購入した▼こうした情景模型は、江戸時代から明治にかけて流行した、箱の中に景観を作る「箱庭」の現代版とも言える。さらに歴史をさかのぼれば、お盆の上に石や白砂を配置し自然の景色を作る「盆石」にも通じる▼不勉強で知らなかったが先日、人吉市で開かれた体験会で初めて目にした。室町時代から続く日本の伝統文化だけに水墨画のような芸術性の高さに驚いた。指導者が「限られた空間の中で風景が再現できる」と魅力を話したが実際に見て納得▼衝動買いした「人生横丁」。盆石のような芸術性はないが、昭和を回顧し人生も考えながら組んでみたい。

トップへもどる