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  • 2024/05/25 (土)
  •  日本語は、意味をイメージしやすい言語である。先週、人吉市の大信寺で開かれた「郷土ゆかりの作品を読む会」。後半、参加者への音読体験の中で聞いた興味深い話▼昔、日本語は特異な言語と聞いたことがある。漢字=漢語、平仮名=和語、片仮名=外来語、アルファベットが加わることもある。また、同音異義語が多く音声だけでは十分に機能しない言語とも▼一方、擬態語や擬音語が豊かで情景をイメージしやすい一面も。「どんぶらこ」といえば大きな桃が川を流れ、「うんとこしょ、どっこいしょ」と聞けば大きなかぶを引く姿を連想する▼冒頭の朗読会、今回は「なば山騒動異聞」で、3回に分けてメンバーが朗読する予定。難しい表現や歴史の教科書以来の単語も、丁寧な語りで参勤交代の道中の景色や徒労を思い浮かべた。続きは6月15日▼音読体験では清少納言の「枕草子」などが紹介された。「夏は夜/月のころはさらなり」―。闇夜に蛍が飛び交う様子や秋の夕暮れなど、時を超えてなお色あせず景色を映す名文▼日本は「言霊の幸わう国」。美しい言葉は良い結果を導く。雨ひとつ取っても表現は多彩。どんより空模様の日こそ明るい言葉を。

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