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  • 2022/08/27 (土)
  •  ロシアの侵略戦争や物価高による政治への不満、さらに新型コロナなど日々の暮らしは暗くなりがち。そんな中周囲に目をやれば、田んぼの水稲が人の腰丈まで成長しており勇気を得る▼今後しばらくは出荷の盛期となる特産のナシやクリ、ブドウと並び10月には収穫期を迎える水稲だが、すでに8月からは台風シーズンイン。稲の倒伏や果樹の倒木、落果がなく一年間の集大成が無事に終わるよう切に願う▼昨年、わが国に上陸または接近した台風の累計は「22」。月別では2、4、5月がそれぞれ「1」、6月「2」、7月「3」、8~10月が「4」、11月と12月が各「1」。1年を4等分すれば7~9月だけで年間の半数が集中し、上陸台風もこの時季ばかり。かつ秋口以降は勢力を増す傾向にある▼実際には台風など自然の猛威を前に人知は無力だ。京都大学元総長の尾池和夫教授によれば、平均的規模の台風のエネルギーは約500万トンの石油を燃焼させたものと同等という。自然への畏怖は「生かされている」実体験にこそ表れる。幼少期に遭遇した台風の夜のように▼災害時の「命を守る行動を」の連呼こそ畏怖を忘れた現代人の証左かもしれない。

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