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  • 2022/06/25 (土)
  •  現代を見渡し平家物語の冒頭「盛者必衰の理」を思う。生者必滅と混同されがちだが結果は違えど過程は同一。この世は絶えず変動する▼過日、SNS上で国力低下を憂えば過去の政治責任の評が原因か、はたまた参院選が目前だったためか、引いては個人的嫌悪によるか不明だが、嫌味十分なメッセージを受け取った。「驕れる人も久しからず」と付記しておく▼自然の節理にはリズムあり。例えば1分間に波が寄せる回数は18で人の呼吸数とほぼ同一。この倍数36が平均体温となり、さらにその倍数72は平常時の脈拍数という具合。国家の盛衰も節理ならば政治家だけの責任とはいえず、あとは身を任せるよりほかない▼哲学者のベーコンは「忍耐は終結された根気」と述べる。ロシアの侵略による原油製品やエネルギーに起因した原料資材の高騰が家計を圧迫する。さらに過度の円安では国内資産の海外流出も心配だ。80年代の日本経済を知る世代では特に我慢も限界に近づきつつある▼我慢といえば作家のチェーホフは結婚生活で最も大切なものと指摘する。どこもかしこも我慢や辛抱を強いる時代。希望だけは不可欠と思う昨今、それすらも霞み始めた。

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