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  • 2021/10/26 (火)
  •  報道の面から考えるのが心身の機能に対する「障害」「障がい」「障碍」の3通りの文字。「害」の負のイメージからか、自治体などでは平仮名の「がい」が増えている。常用漢字ではない「碍」の字を団体名に使うところも▼全国ろうあ連盟本部事務所の聴覚障害を持つ倉野直紀所長に電話で聞いてみた。倉野所長は「連盟の見解は示していない」と前置きの上で、「漢字が平仮名になったところで問題の本質は変わらない」とばっさり▼ならば問題の本質とは何だろう。電話口で倉野所長の通訳を担当した女性は個人的な見解で「碍の字は石に阻まれている人にみえ、問題が人ではなく環境にあることをよく表している」と常用漢字への追加を望む▼熊本市の点字アート作家・加藤英理さんは取材した際、「バリアフリーのバリア(障壁)は私たちの社会がつくっている」と語った。市民楽団員で訪れた県立盲学校の生徒に楽器を「見てのとおり」と説明した過去が教訓になっている▼2019年まで人吉市街地を会場に開催された「とっておきの音楽祭」。「みんなちがって、みんないい」を合言葉に、音楽を通して出演者の間に障害、健常の壁はなかったのを思い出す。

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