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  • 2021/07/20 (火)
  •  長い人生にはいくつかの節目が必ずある。生まれや育ちは人それぞれ。さらに未来志向の有無とその程度の差を加味すれば万別故に、節目の到来時期もまた然り▼苦難を覚悟し迎える人生の岐路では様々な思いが交錯すると承知の上で、無難は誰もが願う理想だが難あればこその“有難さ”とご注進。ついでに“初心忘るべからず”も。これはかの世阿弥が記した「花鏡」の一節。虚心坦懐、素直に目前の事に当たり続けた仲間の心底には初心があった▼このほど長年にわたり共に切磋琢磨、切歯扼腕した仲間が職場を去った。一身上の都合など退職理由はさておき、やはり別れは辛いもの。双方ともに大きな節目であれば、後には有難かったと思える歩みでありたい。長年の労苦、お疲れ様でした▼自己啓発の類いでは必須の世阿弥の初心だが、実は「是非の初心忘るべからず。時々の初心忘るべからず。老後の初心忘るべからず」が全容。単なる原点回帰ではなく、生涯折々の自省を経て成長を図り、変化を求める意識こそ大切ということ▼今や人生80年の時代、誰にも社会で果たせる役目は必ずある。先述の彼には初心にて冷静に未来を図ってほしい。健康でご活躍を。

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