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  • 2020/03/25 (水)
  •  新型コロナウイルスのデマに起因したトイレットペーパーなどの買い占め騒動。一種の集団心理だが、終われば笑い話ながら怖さも残る▼人が生きていく上で情報は欠かせない現世、うそかまことか見抜くには五感を研ぎ澄まし冷静な判断が鍵を握る。大半の若者がSNS全盛の情報過密社会を謳歌する時代故、なおさら▼安易な拡散によってデマがデマを呼ぶと考えれば先述の騒動は不可避だったといえよう。ともあれ、社会には群集心理が作用する▼辞書によれば、たまたま1カ所に居合わせた大勢の人々を意味する「群衆」に対し、「群集」は大勢の人が集まるの意。たまたまか否かだが、群集の中では興奮しやすくなり“暴徒化”しやすい心理傾向にある▼さて、子どもにかかわらず企業など大人間でも散見する“いじめ”はどうか。群集の力が働けば無意識との言い訳は利かず、心を病むことにもつながりかねない▼社会心理学の父と呼ばれたドイツ生まれのクルト・レヴィンは、作業の全体像を知らせない「専制型」組織の利点を説く一方、情報が共有されにくい危うさも指摘▼新型コロナにまつわるトイレットペーパー騒動に得た教訓、真実は一つと改めて。

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