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  • 2019/06/13 (木)
  •  山紫水明霧深く、生う緑の帯、果てしなき…。豊かな自然に、つい笑みが漏れるのももうすぐ。田植えが本格的に始まった▼田植えといえば先月、改元前に上皇陛下がまかれた種もみから育った苗を、天皇陛下がお手植えされた。今秋の大嘗祭と関わる話だが、普段着に長靴姿の陛下が、近所で作業に勤しむ農家の方々と重複。ほほ笑ましく感じたワンシーンだった▼私たちの命の糧を育む農業だが、昭和30年からの60年間で、全国の農地と耕作地の26%が消えた。主な原因は後継者不足だが、“農地法”の障壁に加え、農地転用待ちの不作為なども課題の一つだろう▼今やロボット、ICT(情報通信技術)を使ったスマート農業の実現は国策といってもよい。専門技能のないアルバイト一人で、あとは機械が全てを完遂する社会ももうすぐ▼どこにおいても利己(欲)と簡便(楽)が先行する現代社会。汗を流さず知恵も絞らず、物欲と余暇の対応に溺れる輩の多いこと。人が衰え退化する一方、過度な機械化が招く未来を想像し怖くなった▼しかし郡市には、東北被災者のために稲作し汗を流せる子どもたちがいる。「誰かの為に」を実践する大人への一歩。収穫が楽しみだね。

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