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人吉市和田さん「日本百名山」全頂制覇(2026/08/11) (2026/08/11)
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1座目から愛用しているストック
 きょう8月11日の「山の日」は、平成28年の祝日施行から10年を迎えた。57歳から「日本百名山」を登り始め、定年退職後の64歳から8年間で96座を回り、昨年夏に百名山を完登した和田博さん(73)=人吉市鬼木町=は、自然が生み出す数々の“絶景”を目にしてきた。「未知の世界、今まで踏んだことのないピーク(山頂)を目指すことが楽しみ」と登山の魅力を語る。

 和田さんは元々花が好きで、写真を撮りに水上村の市房山に行っていた。51歳の春に、球磨農業高校(現・南稜高校)の旧友2人と宮崎県の大崩山に行き登山に魅了された。初完登を「花こう岩を眺望し大感動だった」と回想する。
 和田さんが制覇した日本百名山は、小説家・登山家の深田久弥氏(1903―1971年)の随筆「日本百名山」に載った山。①品格②歴史③個性―と、おおむね標高1500メートル以上という独自の基準で選定してある。
 登頂を目指したのは「もっと違う景色を見たかった」から。初手に標高3190メートルの北アルプス最高峰、全国で3番目に高い長野県と岐阜県にまたがる奥穂高岳を選んだ。
 登り切った先に待っていたのは、朝焼けで山が真っ赤に染まる“モルゲンロート”だった。最も印象深かったといい、「びっくりした。どこの山にも行こうという気持ちになった」と笑顔を見せる。
 心に残る花は、長野県の中房温泉から槍ケ岳に至る「表銀座縦走コース」に咲く高山植物の「コマクサ」。槍ケ岳を背景に撮影し「可憐な花で感動(の大きさ)が違った」と目を輝かせる。
 64歳の4月に勤め先の会社を辞めて百名山の制覇に本腰を入れ、その年と70歳の夏に20座を回るなど、合計5回の遠征で残すところ12座に迫り、やり遂げると決意した。
 雨の日以外の早朝は約1時間から1時間半、8キロから10キロほどジョギングに汗を流し、体力づくりの一環でフルマラソンにも出場した。
 昨年6月26日から7月24日にかけて締めくくりの旅に出発。北海道や青森県の11座を登った後、残る1座“日本一”の富士山に向かった。100座目になったのは偶然で、最長の「御殿場ルート」に1泊2日で挑戦した。
 入山前に妻・晴美さん(66)から現地のガソリンスタンドにファクスしてもらった手書きのメッセージを入れたリュックサックを背負い、コースを踏み締めて憧れだった完登を果たした。
 登った瞬間は「普通ではできないことがやれて良かった」と達成感に浸り、メッセージを手に撮影。「周りから拍手が湧いた。単独走破できたことは自慢」とうれしそうに話す。
 「今は体力づくりのため、えびの高原に行っている。体が続く限り月4回くらい山に行きたい。九州百名山はあと2座なので年内に達成したい。フルマラソンは7回完走しており10回を目指す」と目標に向かう。

●安全に楽しむために入念な準備と道具選び
 喜びを味わえる一方で、登山は危険とも隣り合わせ。
 過去には和田さんも足首の捻挫や膝に擦り傷を負ったことがあった。標識を見落として林道を8時間以上さまよった時は、飯が足りずに疲れて動けなくなる“シャリバテ”や脱水症状を起こし、渓流釣りに来ていた人たちに助けられた。
 「妻に連絡してくれて食料ももらった。手を差し伸べてくれて人の温かさを感じた。初心に返り入念に登山ルートの確認をするようになった」と振り返る。
 命を守るために、入山の1カ月前から下準備に取り掛かり国県道をチェック。登山ルートの選定は専用のアプリケーションで確認するなど綿密に計画を立てる。
 同アプリの有料会員になると、コースのデータをダウンロードできたり、間違ったルートでアラームが鳴ったりする機能が備わるため、有料で登録しているという。
 事前の登山届も欠かさずに提出しており、「これから百名山を目指す人は必ずするように」と注意を呼び掛ける。
 身の安全を守るため道具には一層こだわり、メーカーが力を入れている商品を購入。「お金をかけても自分の命を守る。特に靴は命取りになる。登山に行く時には3足は持って行く」と話す。
 1座目から愛用する登山用杖のトレッキングポール(通称・ストック)は「体の一部」と愛着を持ち、これからも相棒と共に新たなピークを目指す。
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