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川辺川ダム 地質が抱えるリスク指摘 市民団体の研究集会(2026/10/20) (2026/10/20)
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地質問題について説明する森助教授
 来年度の本体着工を計画する川辺川ダムを巡り、建設地の地質問題に関する研究集会「断層・破砕帯だらけの川辺川流域の地質と川辺川ダム問題」は17日、人吉市東西コミセンで開かれ、国へ命に関わる地質データの全面開示を強く求め、海外のダム被害や地元・五木村民の証言とともに巨大事業の是非を厳しく問う声が上がった。
 清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会主催。気候危機による豪雨災害と国内外のダム問題を通し、川辺川ダムの地質が抱えるリスクにスポットを当てた。

●「盛土工法」万能ではない
 川辺川ダム問題を追い続ける高知県大学地域教導学部の森明香助教授は「盛り土が孕む深刻なリスク」と題して報告。
 熊本大学理学部の元教授、故・松本幡郎さんが「川辺川ダムの地学的問題」で指摘したダムサイト周辺(岳野地区など)の地滑りリスクや、四浦トンネルの異常な亀裂、湛水時の斜面崩壊リスクなどの重大な警鐘を取り上げた。
 しかし、「国が作成した環境アセスメント報告書では『地滑り』という言葉による言及が避けられ、『斜面安定対策盛土』という表現にすり替えられている」と指摘。岐阜県の徳山ダムの事例や専門機関の技術基準を挙げ、「抑え盛土工法」は万能ではないと警鐘を鳴らした。
 森助教自身が公聴会で直接質問したり、国交省の河川国道事務所や砂防事務所に詳細なデータの開示を求めても、具体的な根拠は一切示されず、折り返しの連絡すら放置されている実態を報告。
 局地的な集中豪雨が頻発する気候変動の時代で、命に関わる地質リスクのデータを公開せず、第三者が安全性を検証できない状態のまま事業を進める国の姿勢に強い危機感を表明し、「透明性の高い情報公開を強く求めている」と語った。

●環境社会学からの観点
 特別講演では、ポーランド・アダム・ミツキェヴィチ大学社会学部のベアータ・M・コヴァルチクさんが登壇。2024年9月にポーランドで発生した記録的豪雨において、古いダム堤防が決壊し甚大な鉄砲水被害が発生した実態を環境社会学の観点から報告した。
 緩やかに増水する通常の洪水であれば避難や準備が可能であったのに対し、ずさんな改修工事に起因する堤防の突発的決壊は1時間で家屋を押し流す致命的な破壊をもたらし、「住民はこれを人災として受け止めている」と述べ、「ダムがない方が安全」と感じる住民の声を紹介し、人間を守るはずの巨大構造物が一度破綻すれば、制御不能なリスクと社会的混乱を生み出すと指摘した。

●翻弄され疲弊した現状も
 五木村民の豊原貴誠さんは、長年にわたりダム問題に翻弄されてきた地域住民の視点から、国土交通省の進める「穴あきダム」の安全性や手続きの不透明さ、そして過疎化と経済的な理由から声を上げにくい地元住民の疲弊した現状を切実に訴え、「国交省が科学的で納得のいく説明をしない限り、反対の声を上げ続ける」と決意を述べた。
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