HOME>>瀬音

  • 2019/03/23 (土)
  •  サクラの開花報が続き、満開の見ごろが待ち遠しい。日本人には特別な存在である理由の一つが「散り際」にもある▼咲いてよし、散ってもなおよし。そんな花木はサクラをおいてほかにない。災害や経済不況、事故が続いた平成の評はさておき、まずは戦争なき平和な時代だったと思いたい。時代の最後の捉え方が、新生の中身、いわゆる新時代の行く末を決める▼一昨日、日米を、いや世界の野球界を代表する米国マリナーズのイチロー選手が引退を表明した。その当夜、2時間弱だったか記者会見を見たが、ここでもやはり「流石」の一言。一流選手は最後まで変わらなかった。まさに「立つ鳥跡を濁さず」だ▼盛りを過ぎてもなお、華やかな様子とは裏腹な解雇への恐怖と苦悩の吐露。自身の人間性では監督業は無理と明言する一途さ、家族や仲間への感謝と愛情あふれる金言の数々。生中継ならではのイチロー選手の心底が見られた▼会見で感じたのが「美しさ」と「清々しさ」。諦めの悪すぎる輩の多さに辟易する昨今、去り際の極意が凝縮されたやりとりこそ、多くが参考とすべきではないか▼イチロー選手の秀逸さは、身の程を知った上の先見の明にある。

トップへもどる