HOME>>瀬音

  • 2025/02/04 (火)
  •  きのう3日は二十四節気の「立春」だった。八十八夜や二百十日などの雑節は立春が起点。初春の令月、草花が芽吹き彩り始める美しい季節▼しかし、今週は強い寒波の襲来とあって、実際には「春は名のみ」の風の寒さ。大雪や凍結など、今後の天候には十分に注意を▼そんな中、今季も桜の開花予想が始まった。桜は前年の夏に翌年の花のもとになる花芽を形成した後、休眠。秋から冬にかけて低温に一定期間さらされて休眠を打破する。しっかり冷え込むことは春を迎えるために不可欠▼立春らしい景色を探して、人吉球磨で梅が咲く場所を何箇所か訪ねた。ことしはどこもつぼみの状態。うっかり咲いて寒さに耐える一輪もない。被災地に咲く花を探そうと球磨村へ。かつては花にあふれた渡小学校跡地でスイセンを見つけた。校舎はなく、児童もいない跡地の正門の生け垣に、小さいながらも「ここにいるよ」と淡い花が前を向く▼水害後、空き家になった場所に立ち寄ると紅梅のつぼみ。家人が白壁に映える紅色を選んだのだろう。浸水し、泥にまみれた枝を4年7カ月の歳月が洗い、季節を忘れず膨らむつぼみに声を掛ける。「あるじなしとて春な忘れそ」と。

トップへもどる