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2024/09/19
(木)
- きょうから秋彼岸。来週は雨模様で気温も落ち着きそうだが、今ごろの定型句「暑さ寒さも彼岸まで」は当たったか。個人的にはウオーキングを楽しめる気温を切に願う▼ウオーキングといえば江戸時代の有名人がいる。「草の戸も住替る代ぞひなの家」と詠んで約150日間、延べ2400キロを旅した俳人、松尾芭蕉だ。ときに日に40キロを歩いたため、歴史家らは“幕府の間諜”“忍者”と推考する。事実はどうあれ、これほどの徒歩の旅は驚嘆に値する▼さらにきょうからは相良三十三観音秋の開帳だ。もう20年ほど前になろうか、車で巡回したら半日でたったの8カ寺。走行距離は40キロ弱となかなか厳しい移動距離。天候次第だが自転車ならばどうにか可能かも。芭蕉なみの健脚保持者はよいが一般の徒歩は無謀▼同参拝の楽しみのひとつが地元住民によるお接待だ。コロナ禍を経て一昨年より少しずつ復活。素朴ながら気負わず、真心いっぱいの人的交流など出会いこそ大きな価値を有する。地方らしさの凝縮だ▼先述の芭蕉は旅の最後、美濃の国大垣で結びの句を残す。別れを惜しむものだが、裏を返せば旅の醍醐味は出会いとの証左だ。外に出よう。