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  • 2024/07/25 (木)
  •  そこにいるのは見るからに普通の10歳代の少年だった。しかし、少年院に来るまでの人生を語り始めると、同じ年代の息子を持つ父親として、あまりにも無関心な社会の現実を突きつけられた▼この少年は「温かい家庭」を知らずに育った。家庭内暴力に耐え、育児放棄に遭いながらも弟と二人で万引か知らない家庭に頼んで命を食いつないだ。それでも「世界でたった一人の母親」を愛し続けた▼これは24日付けから本紙に掲載している少年院・人吉農芸学院の院生が作文に込めた決意の言葉。4人の作文を原文のまま掲載している。皆さんにも読んでもらいたい▼以前、父の日の取材を受けた家族の女子3人は手紙を書いていた。「とうちゃんへ」から始まる感謝の言葉には同じ父親として「温かい家庭」を感じた▼それならばわが家はどうだろう。先日、どこかに置き忘れたスマートフォンを探してもらおうと、息子のスマートフォンから電話をかけてもらったが、画面には「クソおやじ」に発信中と表示されていた▼そんな「クソおやじ」でも、先の少年が出院後に夢見る「温かい家庭」をかなえるためには、社会の「知らんぷり」はいけないと思う。

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