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2024/02/24
(土)
- 来月の今ごろは人吉球磨の桜の名所で花がほころび、春の訪れを全身で感じているだろう▼多良木町久米の久米城址公園(久米公園)が、昭和まで春の花見客でにぎわう場所だったと知ったのは令和4年2月11日のこと。森林ボランティア「久米地区100年の森づくりの会」の活動を取材する中での70歳代男性の話がきっかけ▼サクラやツツジが咲く春には町内外から訪れる花見客でにぎわい、標高273.9メートルの広場には期間限定の店も出て拡声器で歌謡曲が流れていた。遠足の地でもあり、地元の久米小学校だけでなく湯前町からも訪れていたという。しかし、平成に入ると公園の利用が次第に減って荒れ始めたようだ▼にぎやかだったころの復活と地域の宝を未来につなぐために久米熊野座神社(椎葉社宮司)総代会を母体に同会を設立。森林整備や除草、樹木管理、サクラとモミジの植林を始めた。草や雑木に覆われた遊歩道、影を潜めた絶景の眺望も明らかに復活の兆しを見せる。弁当を持って訪れる人も見られ始めた▼椎葉宮司の言葉で締めたい。「鎮守の杜として育ち、季節の草花が咲き、人々の心のよりどころになり、人が足を運ぶ場所に復活できたら」。